CPUクーラーの選び方

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パソコンを構成する半導体パーツの中で、CPUは特に消費電力が高く発熱の大きなパーツだ。

CPUの発熱はチップの自然放熱では全く間に合わないほど大きいため、現在の自作パソコンでは専用のCPUクーラーを搭載することで冷却。CPUを正常に動作可能な温度に保つようにしている。今回は、自作パソコンの安定動作に欠かせないCPUクーラーについて、その選び方を紹介する。

 

CPUクーラーの役割と、購入前に最低限抑えるべき要素

冒頭で紹介した通り、CPUクーラーとはCPUを正常に動作可能な温度を保つために用いる冷却ユニットだ。CPUクーラーには冷却方式や形状などの違いによえり、多様な製品が存在しているが、それらはすべてCPUを冷却するためのものである。

このCPUクーラーの役割を踏まえたうえで、CPUクーラーを選ぶ際、最低限抑えるべきは以下の3点だ。

・CPUの発熱に対応できる冷却能力を持つこと
・マザーボードに取り付けが可能であること
・PCケースに組み込み可能であること

CPUクーラーに求められる最大の要素が、使用するCPUの発熱に対応できる冷却能力を持っていることであることは想像に難くないだろう。CPUの発熱量はTDP(Thermal Design Power)と呼ばれる数値でスペックに記載されており、CPUクーラー側でも対応TDPの最大値を記載している製品が存在する。

二番目に挙げた、マザーボードに取り付け可能であるという要素も必須要素だ。マザーボードのCPUソケット周辺には、CPUクーラーを取り付けるための穴や機構が設けられているが、これらはCPUソケット毎に異なる。市販されているCPUクーラーのすべてに、対応するCPUソケットがスペックとして記載されているので、CPUクーラーとマザーボードのCPUソケット規格が同一であることを確認する必要がある。

PCケースに組み込み可能であることも重要だ。大型のヒートシンクや水冷ラジエーターを備えた製品の場合、取り付けられないPCケースも少なくない。PCケースのスペックとして、組み込み可能なCPUクーラーの最大高さが記載されている場合もある。

 

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Intel LGA1151ソケット。CPUクーラー取り付け用の穴がソケット四隅付近に開けられている。

 

 

記載のない製品の多い「対応TDP」と「ケース側の対応」

やっかいなのは、CPUクーラーの対応TDPと、ケースに組み込み可能CPUクーラーの最大高さについて、スペックとして明記されていない製品が多いことだ。

対応TDPが記載されていないCPUクーラーの冷却能力は、CPUクーラーの対応ソケットからその実力を予測できる。例えば、IntelのハイエンドプラットフォームであるLGA2011-v3には、一般向けCPUにTDP 140WのCPUしか存在しないため、LGA2011-v3に対応しているCPUクーラーなら、TDP 140Wに対応できる冷却能力はあると判断できる。(例外的に、Socket AM3+のTDP 220W級CPUについては、特記なしで対応していない製品が多い。)

また、CPUクーラーが搭載する冷却ファンの口径からも、おおよその冷却能力が予想できる。120mm径をひとつの基準として、80mmや92mmなど120mm系以下のファンを備えるCPUクーラーはTDP 65W程度まで、120mm以上の大口径ファンを備えるCPUクーラーであればTDP 100W級に対応可能とみておけば、冷却性能の不足に陥ることは少ない。

 

一方、PCケースとの組み合わせについては推定が難しい。ケースの寸法から組み込み可能なCPUクーラーの最大高さを推定したり、使用するケースとCPUクーラーの製品名で、組み合わせた事例がないかインターネットを検索する必要がある。

ある程度の目安で言えば、横幅が200mmを超えるミドルタワーケースであれば、全高160mmまでのCPUクーラーが収まる可能性は高い。これは逆に言えば、全高が160mmを超えるCPUクーラーについては、ミドルタワーケースであっても側面パネルとの干渉が発生して組み込めない可能性があるということでもある。大型CPUクーラーを利用する際は特に注意したい。

 

大型のファンを搭載したCPUクーラーは高い冷却能力を持つが、ケースと干渉しやすくなる。

大型のファンを搭載したCPUクーラーは高い冷却能力を持つが、ケースと干渉しやすくなる。

 

 

冷却能力が高ければ静粛動作の余地も広がる

CPUの発熱に対応する冷却性能、CPUソケット(マザーボード)への対応、PCケースに組み込める大きさ、これら3点の要素をおさえることで、CPUクーラーについては問題なく使える製品を選べる。

冷却性と静粛性の2つのバランスはCPUクーラーを選ぶ上で、個人の好みが一番出るところとなるだろう。PCの設置場所や使用する環境によって、静粛性はあまり気にならない場所と、静かな自宅の部屋で使用する場合とでは、クーラー選びは異なったアプローチとなる。

「問題なく使える」以上の使い方、例えば「オーバークロックしたCPUの冷却に対応したい」や「より静かに冷却したい」などを望むのであれば、基本の3要素に加え、より冷却能力の高い製品を選ぶことで目的を果たせることが多い。

静粛性を求める場合、ファンの回転数で冷却能力を稼いでいる製品はこの限りではないが、高い冷却能力を持つCPUクーラーであれば、必要な冷却能力を得るのに必要なファンの回転数も低くできる。CPUの発熱に対し、CPUクーラーの冷却能力が高ければ高いほど、ファンの回転数を下げる余地が広がるという訳だ。

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冷却性能の余力は静粛化の余地であるとも言える。 CPUの発熱量に対して過剰に思えるCPUクーラーであっても、選ぶ意義はあるということだ。