G.SkillのDDR3-3000メモリをZ87で試す~Haswellでの高クロックメモリの使い方~

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0004DDR3-3000メモリはコンシュマー製品で「3000MHz」という大台に乗せたということで注目され、その中でG.Skill F3-3000C12Q-16GTXDGは世界的にもいち早く市場にリリースされた製品だ。

各メモリベンダーからはINTEL第4世代コアプロセッサHaswellの登場にあわせ、高クロック製品が発表されているが、実際に市場に投入するメーカーは現状ではごく一部となっている。高クロック製品をプロモーション目的のみに扱っているメーカーもあり、発表はしても発売はしないという場合もある。G.Skillは、ハイクロック製品を積極的に市場投入している希有なメーカーだ。

DDR3-3000というクロックは、ただメモリスロットに挿せば動作するというものではない。ここでは「DDR3-3000で動かすこと」についてを紹介してみたい。

4GBの片面実装メモリ

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モジュールの両面を見ると、端子近くのパーツ実装が異なることがわかる。片面はコンデンサーなどがあるのに対し、もう片面は何も実装されていない。ヒートスプレッダーの隙間から覗くと、ICチップは片面実装、PCBも片面仕様となっている。4GBメモリは片面、8GBメモリは両面実装となる。ICチップは、HynixのH5TQ4G83MFRチップが使用されていると思われる。

http://www.skhynix.com/products/consumer/view.jsp?info.ramKind=19&info.serialNo=H5TQ4G83MFR

2013年8月現在、各メモリメーカーのハイクロックメモリはHynixのMFRは選別品である可能性が高い。なぜなら現状、他に選択肢が存在しないからだ。ただ、DDR3-2666以上の耐性があるものを選別するのはかなり厳しく、そのためDDR3-3000の価格は非常に高価になってしまっている。

DDR3-3000での動作

まずはスペックであるDDR3-3000で動作させてみた。

0007DDR3-3000をスペックで動作させるのは簡単ではない。いくつかのハードルがある。
一つ目はマザーボード側のメモリ対比設定だ。マザーボードにはDDR3-2933という対比は用意されているが、DDR3-3000という対比があるのは一部のマザーボードのみとなっている。ASUSのマザーボードにはDDR3-3000という対比があるが、GIGABYTEのマザーは最高対比がDDR3-2933となっている。

ではDDR3-3000対比があるASUSマザーを使えばいいのかといえばそうではない。

試してみた限り、現状のCPU、マザーボードではDDR3-3000対比は動作しなかった。おそらく実際に動作可能なのはDDR3-2933対比までではないかと思われる。ASUS以外のマザーベンターが「2933」以上の対比を用意していないのは、このためだろう。

対比設定にDDR3-3000が使えないということは、「3000」に合わせるにはBCLKの変更を行うことになる。BCLKとメモリクロックは決められた対比によって同期しているので、BCLKをアップすれば、メモリクロックもアップするからだ。

BCLKを「102.3」にするとちょうどDDR3-3000となる。第2世代、第3世代コアプロセッサー、Sandy Bridge、Ivy Bridgeを使ったことがある人はBCLKを変更することに抵抗があるだろう。これらのCPUではBCLKはほぼ変更できず、実際±5前後しか動かせなかった。また少しいじっただけでも不安定になることがある。

一方、HaswellのKシリーズではCPU Strapが付いたことでBCLKを動かす余地は増えている。だが、やはり安定度は気になるところだ。

BCLKが伸ばせるHaswellでは
BCLK「115.x」 CPU Strap=125 Memory対比 1:13
BCLK「125.0」 CPU Strap=125 Memory対比 1:9
といった設定でもDDR3-3000となる。

メモリクロックの耐性が、メモリ対比によっても異なってくるので、CPUクロックと合わせシステム全体の安定度を見つつ、試してみてもいいだろう。

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▲DDR3-3000以上も設定項目があるASUS Z87-PRO

CPUの耐性

二つ目はCPUのメモリクロック耐性だ。
Ivy Bridge、Haswell共に、メモリコントローラーはCPUに内蔵されている。そのため、メモリのクロック耐性はCPUへの依存度が大きくなっている。

Ivy BridgeでもDDR3-2666、DDR3-2800のメモリがリリースされているが、これらの高クロック動作が可能かどうかはCPUの耐性による部分が大きく、かなりメモリクロック耐性がいい個体でないと安定した動作はできなかった。CPU個体AはOK、CPU個体BはNGといった具合になり、これはマザーボードやメモリとは関係なく、CPUのメモリクロック耐性に関わる問題だ。

Haswellではメモリクロック耐性はIvy Bridgeより上がっているようだ。それはメモリメーカーがHaswell対応としてIvy Bridge対応よりも高クロックのメモリをリリースしていることからもわかる。これはICチップが変わったからというより、CPU耐性の恩恵を受けているといったほうが正しい。

ただし、もともとのスペックがDDR3-1600対応のCPUのため、メモリコントローラーの耐性は個体によって左右される。概ねハイクロック動作はIvy Bridgeより容易であるが、なかにはそれほど耐性がよくないものもあるようだ。長時間の高負荷時のテストになってくるとさらに条件は厳しくなる。

印象としてはIvy BridgeはDDR-2133~2400、HaswellはDDR3-2400~2800というレンジのメモリクロック耐性のようだ。もちろん個体差があるので、これら数値より低いもの、高いものが存在する。

DDR3-3000も動作するCPUはそれなりにあるようだが、高負荷をかけても100%安定して動作させるのは、CPUの選別が必要となるだろう。

マザーボードの選び方

Z87マザーボードを選ぶことは必須となる。
またZ87マザーの中でもDDR3-2800以上の動作をさせるには、さらに厳選しなければいけない。メモリクロックに強いマザーボードは限られている。

OCTECHではASUS Maximus VI Extreme、ASUS Z87 PRO、GIGABYTE Z87X-OC Force、GIGABYTE Z87X-OCでの動作は確認している。ただし、BIOSが古いと安定度が低いマザーボードもあったので、BIOSは最新のものにアップデートしてから、ハイクロックを試したほうがいいだろう。またマザーボードを選ぶとき、BIOSが頻繁に更新されているもののほうが安心だ。マザーボード発売後、1~2か月でBIOS更新が少ないものは、メモリの対応が悪いマザーといってもいい。

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BIOS設定

では実際にDDR3-3000の設定を行ってみよう。
今回はGIGABYTEのZ87X-OCを例にして行った。BIOSはどのマザーボードも同じ項目があるので、探して行ってみてもらいたい。

(1)メモリ対比をDDR3-2933に設定
BIOSのHome→PerformanceメニューのSystem Memory Multiplieを「29.33」に設定。UEFI BIOSではマウスも使うことができる。
BIOS_memory_2933
この設定を行うと、下のMemory Frequencyが「2933MHz」になる。

(2)BCLKを102.3に設定
同じメニューの一番上にあるCPU Base Clockに「102.3」を入力。この数値を入力すると先ほどのMemory Frequencyが「3000MHz」になる。
BIOS_memory_bclk
これでクロックの設定はOK。

(3)メモリ電圧を1.65Vに設定
同じメニューのDRAM Voltageをスペック電圧である「1.65V」に設定。「1.65」とキーボードより入力すると早い。
BIOS_memory_voltage
メモリ電圧はPerformance→Voltageのメニューからも変更できる。

(4)メモリタイミングを12-14-14-35に設定
Performance→MemoryのメニューのMemory Timing Modeを「Manual」に変更。これによってタイミングの手動設定が可能となる。「Advanced Manual」という設定もあるが、これはメモリのチャンネル毎にタイミングを変更するので通常は使わない。
BIOS_memory_timing01BIOS_memory_timing02
ChannelA Memory Sub Tiから「Enter」で入り、CAS Latencyから順番に「12」「14」「14」「35」を入力。メモリスペックのCL12-14-14-35を設定した。

これでメモリの設定は完了する。DDR3-3000の場合は、BCLKを動かさないといけないので、他のメモリよりも面倒だ。

まとめ

現在の主流のメモリはDDR3-1600なので、DDR3-3000というメモリクロックは、相当上の値だ。しかし、CPUのクロックとは違い、メモリクロックだけではトータルパフォーマンスにはそれほど顕著な違いは出ない。もちろんベンチマークで計れば良い結果が出るが、その違いは数%程度だろう。

メモリアクセスを重視する特殊なプログラムなどでは、パフォーマンスアップが図れるだろうが、一般的なプログラムではそこまで大きな違いとはならない。

まだDDR3-3000レベルの製品が高価すぎて、コストパフォーマンスを享受できる人は少ない。用途としてはベンチマーク、実験的、お遊び的なものが主となるだろう。現状、BCLKをいじらないとDDR3-3000にはならない。つまり、DDR3-3000動作はBCLKの変動に対する不安定要素も考慮する必要がある。

メモリの高クロック対比、BCLK設定、CPUメモリクロック耐性とハードルはあるものの、最上位のメモリクロックでの動作を探るのはPC DIYならではの楽しみだ。検証を行いつつ、自分の環境での最適パフォーマンス設定を見つける過程を楽しむのが、現在のDDR3-3000の魅力といえるだろう。