CPUやメモリの動作状況を簡単に確認できるモニタリングソフトが「CPU-Z」だ。今回は、世界的に最も使われているCPU情報参照ツールでもあるCPU-Zについて、その使い方を確認する。
CPU-Zにできること
CPU-Zは、CPUやメモリの詳細なスペックと、動作クロックをリアルタイムに確認できるモニタリングソフト。同種のモニタリングソフトの中でも、CPU情報の表示機能に特化しており、新製品への対応が早い。フリーウェアであり、配布元のCPUIDからダウンロードすることで、誰でも無料で利用できる。
CPU-Z
http://www.cpuid.com/softwares/cpu-z.html
自作PCにおいては、動作クロックをリアルタイムに確認できるという機能を活用し、CPUやメモリが、それぞれが設定どおりに動作していることを確認する際に利用する。
なお、使用に際して注意が必要なのは、表示される情報の正誤についてだ。CPU-Zが対応済みのCPUの詳細情報については、おおむね正確に表示されるが、メモリのSPD情報や、GPU情報などについては、不正確な情報が表示されることが少なくない。
主な機能
CPU-Zには、「CPU」「Cache」「Mainboard」「Memory」「SPD」「Graphics」「Bench」「About」という7つのタブ設けられており、それぞれのタブに沿った内容の情報や、機能を提供する。主に使用することになるのは、「CPU」と「Memory」のタブだが、まずは各タブの機能について紹介する。
CPU
CPUのモデルナンバー、製造プロセス、ステッピング、命令セットなど、詳細なスペック情報と、動作クロックをリアルタイム表示するメインタブ。
Cache
CPUが備えるキャッシュについての情報を表示する。
Mainboard
マザーボードの製造メーカー、機種、BIOSバージョンなどを表示する。
Memory
PCに搭載されたメモリの動作クロック、容量、タイミングなどを表示する。得られる情報の精度は高い。
SPD
PCに搭載されたメモリのSPD情報を参照できる。ただし、正確に読み取れていない場合も多い。SPD、XMP情報はビットデータをデコードして得られる数値のため、デコードの解釈が異なるとズレた数値が表示されることがある。
Graphics
搭載しているビデオカード(GPU)のスペックを表示する。ここで表示されるクロックはリアルタイム表示ではなく、情報量も乏しい。
Bench
CPUのベンチマークと、ストレステストを実行できる。ストレステストとしてのCPU負荷はPrime95などに比べ軽い。
About
CPU-Zが参照したCPUレジスタの情報などをテキストファイルやHTML形式で書き出せるほか、CPU-Zの記録登録サイトに現在の動作クロックなどを登録する「Validation」が用意されている。
動作クロックの確認方法
前述のとおり、CPU-Zでもっとも使用する機会が多いのは、CPUタブとMemoryタブだ。これらのタブは、CPUとメモリの動作クロックをリアルタイムにモニタリングする機能を提供しており、オーバークロックしたCPU、あるいはオーバークロックメモリの動作状況の確認に必要な項目が揃っている。
CPUタブの確認方法
CPUタブで注目すべきは、「Clock」の項目だ。ここに表示されている動作クロックはリアルタイムに更新されており、省電力機能やTurbo Boostなどの自動オーバークロック機能が有効であれば、CPU負荷に応じて動作クロックが変化していることを確認できる。
Clockには4つの表示箇所が設けられている。上から3つの項目、Core Speed、Multiplier、Bus Speedは固定されており、それぞれCPUクロック、CPU倍率、ベースクロックに対応した表示となっている。4番目の項目は搭載しているCPUによって表示項目が変化し、おおみねCPUとチップセット間の接続バスの動作クロックが表示されるが、何も表示されない場合もある。
Memoryタブの確認方法
Memoryタブでは主に、メモリクロックと、メモリタイミングを確認する。
メモリクロックはDRAM Frequencyで確認するのだが、ここで表示されるメモリクロックは、DDR換算前のバスクロックとなっている点に注意したい。
DDR(Double Data Rate)メモリはその名のとおり、1クロックで2回のデータ転送が可能なため、DDRメモリの製品にDDR4-2400として記載されているメモリクロックは、バスクロックを2倍したものである。
つまり、CPU-ZのDRAM Frequencyに1,200MHzと表示されたDDR4メモリは、DDR4-2400として動作しているということになる。
メモリタイミングについては、「CAS# Latency(CL)」「CAS# to CAS# Delay(tRCD)」「RAS# Precharge(tRP)」「Cycle Time(tRAS)」の4項目と、「Command Rate(CR)」を確認する。
先に挙げた4項目は、メモリの製品スペックに「15-15-15-35」などと記載されているメモリタイミングに対応する項目。それぞれの対応は「15(tCL)-15(tRCD)-15(tRP)-35(tRAS)」となっており、上から順に読むことでメモリタイミングが正しい設定で動作しているのかを確認できる。
Command Rateはメモリ製品のスペックの末尾に「2T」や「2N」と記載されるもので、オーバークロックメモリではここまでスペックで定められている場合がある。
CPUとメモリの動作を簡単に把握できるモニタリングソフト
以上のとおり、CPU-ZはCPUの詳細情報と動作クロックのリアルタイム表示が可能なアプリケーションだ。組みあがったPCが正しい設定で動作しているのかを簡単に確認するとき、あるいはオーバークロックを試みるとき、簡単に使えるモニタリングソフトとして重宝するだろう。
マザーボードメーカーも添付DVDに自社スキンのオリジナルCPU-Zを用意していたりする。自作PCにおいてポピュラーなソフトで、真っ先にインストールする人も多い。動作が不安定だったり、思うような動作でない場合は、CPU-Zをインストールして数値を確認してみるといい。