Computex 2015には、電源ユニットを扱うメーカーやブランドが数多くの製品を出展していた。今回は、各社の製品から今後の電源ユニットのトレンドについて考察してみたい。
高効率化の到達点も間近 ~各社が80PLUS TITANIUM電源を展示
ATX電源の容量が、一般家庭のコンセントから供給可能な最大値に到達して以来、電源ユニットの変換効率は製品の優位性を示す指標となってきた。
今回のComputexでも、「80PLUS認証」の最高位である80PLUS TITANIUM認証を取得した電源ユニットを展示しており、今なお高効率であることが、電源ユニットの大きな指標であることは疑いの余地がない。
ただ、極めて高い変換効率を要求する80PLUS TITANIUM認証を取得した電源ユニットが少なからず展示されているということは、高効率化もいよいよ限界点に近づいてきたという印象だ。
今後も高効率であることの意義や優位性が失われることはないが、多くのメーカーが変換効率で横並びになれば、あとは如何にコストを抑えるかの競争となる。電源メーカーとしては新たな付加価値を模索することになりそうだ。
新たなトレンドはモニタリング機能か?
Computexでは、効率に代わる付加価値を模索していることが伺える製品もいくつか見かけることが出来た。中でも興味深かったのは、電源ユニットの稼働状況を確認できるモニタリング機能だ。
既に製品化された電源ユニットにも、モニタリングソフトが付属するものは存在するが、Computexでは各出力ラインごとの電圧と電流、電源ユニットの変換効率などを表示する高機能なものが展示されていた。モニタリング機能については、表示可能な数値やユーザーインターフェース、電圧のチューニング機能を備えるなど、様々な部分でメーカー毎の差別化が模索されており、その完成度次第ではメーカー独自のメリットとなり得る印象を受けた。
ユーザーとしても、これまで外部の測定機器などを用意しなければ知ることの出来なかった電源ユニットの出力状況を把握することで、単に電源の稼働状況だけでなく、現状のパーツ構成に対する電源ユニットの”余力”を知ることができる。これにより、パーツのアップグレードを行う際に、電源ユニットの余力に基づいたパーツ選びが可能となるだろう。
モニタリング機能の有無は、電源ユニットの品質に直結する要素ではないが、パーツ構成を自由に選択し、アップグレードができる自作PCにおいて、その有用性は確かなものと言えるだろう。
ほぼ完成された電源ユニット ~次のトレンドは「付加価値」と「小型化」
コンセントから供給される交流(AC)を、PCパーツ向けの直流(DC)に変換するという電源ユニットの役割において、その性能指標となる「容量」と「効率」は、おおよそ限界点に到達しつつある。それは、電源ユニットが本来の目的において、ほぼ完成されたことを意味している。
今後、電源ユニットとしての性能の向上は、大きさやコストの制約が厳しい小型電源や低価格電源のトレンドとなり、ハイエンドクラスの電源ユニットは、モニタリング機能をはじめとする新たな付加価値による差別化が進むことになりそうだ。各社が創造する新たな電源ユニットの価値に注目していきたい。