ASRock Z97 Anniversaryの最も基本的なBIOSからのオーバークロックの設定項目を紹介する。
手動のOC設定に初めて挑戦される方は、まずこの設定を参考にしてみていただきたい。
●機材
テスト環境 | |
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マザーボード | ASRock Z97 Anniversary |
CPU | Intel Pentium G3258 |
CPUクーラー | REEVEN HANS (RC-1205) |
メモリ | Team Zeus TZRD38G2133HC11ADC01 (DDR3-2133 4GB×2) |
電源 | CoolerMaster Silent Pro 1000W |
SSD | INTEL 510 Series 120GB |
※この記事はリテールのCPUクーラーではなく、より冷やせるCPUクーラーの使用を前提としてる
(1)CPUクロック
起動時に「DEL」キーでマザーボードのUEFI BIOSに入ったら、「OC Tweaker」のタブに入る。このマザーボードのオーバークロック設定はほぼこのタブ内のメニューで行えるので、わかりやすい。
CPUクロックを上げる基本は倍率を変更する。設定項目は「CPU Ratio」。まずここで「All Core」に設定する。1コアずつ倍率を上げたい場合は「Per Core」設定だが、慣れるまでは「All Core」設定をおすすめする。「Auto」から切り替えると、倍率を数値で入力できるなる。40倍にすれば100MHz×40=4.0GHz、44倍にすれば100MHz×44=4.4GHzとなる。
(2)GPUクロック
グラフィックボードを使用せず、マザーボード内蔵のINTE HD Graphicsを使用している場合は、GPUクロックをアップすることで描写性能が上がる。効果が高いので、ぜひ試してもらいたいOC項目だ。
設定項目は「GT Frequency」。GPUクロックの設定方法は各メーカーで異なるが、ASRockではクロック値を直接入力する。1300MHzの場合は「1300」、1500MHzの場合は「1500」と入力すればよい。
(3)メモリクロック&タイミング
メモリクロックは通常メモリスペックに合わせて設定する。
だがメモリもマージンがあるのでクロックやタイミングをより高速に設定してみる価値はある。メモリクロックは「DRAM Frequency」の項目で設定する。プルダウンメニューの中からメモリクロックの設定をおこなう。
メモリタイミングは「DRAM Configuration」の下層メニューに入って行う。メニューに入ると「DRAM Tweaker」でメモリタイミング設定が可能になる。
「DRAM Tweaker」では、1番目から「CAL# Latency(tCL)」「RAS# to CAS# Delay(tRCD)」「Row Precharge Time(tRP)」「RAS# Active Time(tRAS)」の4つを設定。メモリのタイミングスペックの4つはここの設定となる。5番目の「Command Rate(CR)」は通常「2」の設定となる。これら以外の数値は基本は「Auto」にしておいて問題ない。
(4)CPU電圧
倍率を上げていき、ベンチが完走しなかったり、安定度が悪かった場合は、CPU電圧をあげる。まずは1.20Vあたりから設定してみる。
CPU電圧は「CPU Core Voltage Mode」で行う。設定方法は「Override Mode」と「Offset Mode」が選べるが、最初は電圧値をそのまま設定する「Override Mode」のほうがわかりやすい。
「Override Mode」を選択すると「Vcore Override Voltage」が設定できるようになるので、ここに直接電圧値を入力する。
(5)GPU電圧
GPUクロックの変更でクロックを上げていき、ベンチが完走しなかったり、安定度が悪かった場合は、GPU電圧をあげる。設定は「GT Voltage Mode」で行う。設定方法はCPU電圧同様に「Override Mode」のほうがわかりやすい。
「Override Mode」を選択すると「GT Override Voltage」が設定できるようになるので、ここに直接電圧値を入力する。
まずは1.10Vあたりを設定してみる。GPU電圧もCPUの発熱に関わるので、CPU温度の上昇もチェックしながらの調整となる。
(6)メモリ電圧
メモリの場合は、あまり設定をいじることができない場合があるが、クロックやタイミングを変更して、安定しない場合は電圧をあげる。設定は「DRAM Voltage」で行う。ただしスペック電圧以上の設定は注意する。1.65V以上電圧をかける場合はメモリファンなどを使用して、メモリを冷却することが必要だ。電圧を上げた場合は、ヒートシンクに触れて温度を確認する(高温になっていることもあるので十分注意して触ること)。「熱い」と感じるくらいになっていれば、ファンを当てて冷却する。
以上の設定を繰り返し行い、動作させたいベンチや、プログラムが安定動作するかを確認していく。
クロックアップ設定→テスト→電圧アップ→テスト→再設定
という工程で動作をチェックしていく。
チェックポイント
電圧をアップしていく場合は、必ずCPU温度の変化に注目する。CPU温度が100℃を超えると、CPUの保護機能が働き、強制的に動作クロックが下がることがある。ベンチマークをしていて、クロックを上げたのにスコアが落ちてしまったときなどはCPU温度が上がり過ぎている可能性が高い。
主な設定項目は「CPUクロック」「GPUクロック」「メモリクロック」3つ。これらのクロックをCPU温度を見ながら電圧を上げて調整していくのが、最も基本的なオーバークロックの設定となる。難しい設定項目はないので、BIOS設定に不慣れな方でも繰り返し行うことでコツは簡単につかめるはずだ。Intel Pentium G3258やCore i7-4970Kなど倍率可変のCPUを手に入れたなら一度試してみていただきたい。
<機材協力>
マスタードシード株式会社